【ランニング初心者の方は、まず何から始めればよいと思いますか?】
とっかかりは何でもよいので、とりあえず始めてみてそこから展開していけばよいと思いますが、一つの提案として、格好から入ってみるのもよいと思います。
まずは自分がどんなウェアを着て、どんな格好で走りたいかをイメージしてみるのもよいのではないでしょうか。
最近は女性用だけでなく、男性用のアイテムもかなり豊富なので、選ぶのもきっと楽しいと思いますよ。
楽しく続けるうえで、ファッションも重要な要素の一つですし、そこから刺激を受けてモチベーションが上がるのは、いくつになっても変わりません。
走れるようになったら、大会前に何を着るか考えたりするのも、きっと楽しくなりますよ。
また、私と同年代の方へは、若い人たちと一緒に走ることもおすすめします!
一緒に走るのが楽しいだけでなく、ファッションや取り組み方など、いろんなことから刺激を受け、自分の気持ちも若返ります。
サークルなどに入れば、いろんな年代の方と素敵な出会いがありますよ。
【始めたきっかけと、走る目的はなんですか?】
実は30年くらい前にもちょっとしたランニングブームがあり、その流れに乗って始めたのがきっかです。
流行りと言っても今ほどではなく、ランナー人口も少なかったので、当時は5キロの大会に出ただけでも、周りから「すごいね!!」と言われました。
でも走り始めてからしばらくは、なかなか走ることが好きになれず、そんなに練習はしていませんでしたし、大会も年に2~3回程度、完全に独学でやっていたのでよく足も痛めました。
もっとちゃんと走ろうと思ったのは6年ほど前のことです。
当時自分の健康について見直し、心身ともにもっと丈夫になりたいと思ったことと、陸連の公認記録を出して、まだ一般参加がなかった仙台国際ハーフマラソンに出たい、と思ったことがきっかけです。
私は生まれも育ちも仙台で、なおかつ仙台国際ハーフマラソンのコースが、自分のこれまでの生活圏ととても被っているので、“私が走らないわけにはいかない!”ということで、公認記録を出して参加したい、と強く思うようになりました。
もう一つのきっかけは、同じランナーでもある主人が病気をしたことです。
無事回復しましたが、その後も身体が心配で、主人が参加する大会には必ず応援しに行くようなりました。
何度か応援に行っているうちに、せっかく来たんだから自分も走ればよいのではないかと思うようになり、それから大会に参加する頻度が増えました。
その後スポーツジムにも通って身体を絞り、走る時間も増やして、無事公認記録を出すことができ、2009年と2010年の仙台国際ハーフマラソンに参加することができたのですが…
残念ながらどちらも関門で引っかかってしまい、完走することはできませんでした。
でもこのころから走ることにどんどんのめり込み、“走るっていいな”と思うようになりました。
一人で練習をしていると、自分の世界に入っていろいろなことを考え、自分を客観視して見つめ直したり、リフレッシュしたりすることができます。
これが私にとってはとても楽しく大事な時間で、その後チームやクラブに入って、みんなで走るのも違う楽しみがあってよいなと思いましたが、自分の原点は一人で走ることであり、その時間を楽しむことができたからここまで続けることができたのだと思います。
【必須&おすすめのストレッチやマッサージなどはありますか?】
走る前はイスに座って脚の上げ下げをして腸腰筋を動かしたり、肩甲骨をよく動かしたりしてから走るようにしています。
長く続けていると自分の身体の動きの癖が分かるようになってきて、私は特に左の肩の動きが悪いので、入念にストレッチをやるようにしています。
走った後のメンテナンスもとても重要です。
以前はあまりやっていなかったのですが、それが原因で一度立てないくらい身体を痛めてしまったことがあります。
その時通った接骨院で、とても役立つアドバイスをいただき、また的確な施術により思ったより早く回復することができたのでよかったのですが、日ごろのメンテナンスの大切さを痛感し、今まであまりやっていなかったことを後悔しました。
今では担当の方とも長い付き合いとなり、何が原因で痛むのかを分かってくれるので、最近は最低でも週に一回は通って身体を診てもらっています。
【お気に入り&おすすめアイテムはありますか?】
私は走るときにラジオを聴くのが好きで、以前は携帯用のラジオを持って走り、国会やニュース番組を聴いて情報収集をしていました。
今はiPhoneを使っているのですが、やっぱり練習の時はラジオを聴き、レースの時に音楽を聴いています。
夏場に欠かせないのがOS-1(経口補水液)です。
脱水症状予防のため、レースの時は必ず持っていきスタートぎりぎりまで水分補給をしています。
また、塩分補給にはアスリートソルトがおすすめです。
これは宮古島の塩で作られた錠剤で、走っていても飲みやすく、季節に関係なくレースのときは持っていきます。
レース用のサプリはザバスを愛用しています。
スムーズに飲めるようにキャップを少しひねって、すぐ開けられるようにしています。
フルマラソンの時は、10キロおきにエイドの少し前から飲み始め、エイドの水で流し込み、
空になった紙コップにサプリのごみをいれて一緒に捨てます。
ザバスは小さいのでレースの時も携帯しやすいですよ。
写真は、鉄分やビタミンC、カルシウムを補うために飲んでいる、セリアというサプリメントです。
【走るときに気を付けていることはなんですか?】
フォームですね。
初めて東京マラソンで走った時に足を痛めてしまい、しばらく走れなくなってしまったのですが、どうやら私は身体の軸に対して着地がずれているらしく、それが分かってからフォームには気を付けて走るようになりました。
また、苦しくなると猫背になってしまうので、疲れたときは特に気を付けるようにしています。
そして、常に自分に言い聞かせているのは「脚から行くな」ということです。
脚ではなく、体幹や丹田(へその下のあたり、全身の精気の集まる所と言われている場所)に意識を持つように気を付けて走っています…レース中などは忘れてしまうこともありますが。
【よく利用するお店はどこですか?】
ノースフェイスが好きで、ウェアやタイツ、ウォーマーなどを購入します。
デザインがよく、軽くて使いやすいのでとても気に入っています。
シューズに関しては、ずっとアシックスのターサーを履いていて、試し履きする必要がないのでアマゾンで購入しています。
消費税が上がる前はここぞとばかりに、4足もまとめ買いをしました。
一体どれだけ走るつもりなの?と自分でも思ってしまいました(笑)。
【練習内容とおすすめのランニングスポット】
県民の森をよく走っています。
県民の森はけっこう広いので、最初は怖いときもありましたが、毎回走っているうちに全コースを網羅してしまい、今では迷うこともありません。
アップダウンのあるコースが多いので、筋トレ効果もあるかもしれませんね。
ただ最近はクマが出るようなので、大きい鈴を持って走るようにしています。
実は以前イノシシに遭遇したことがあり、目が合ったとたんにすごい勢いで私の方へ突進してきたのですが、驚きと怖さのあまり、自分でも信じられないくらいのスピードで走って逃げ、なんとか撒くことができました。
練習では月間走行距離200キロを目標にしています。
以前は月に300キロ以上走っていたのですが、最近は身体への負担を考え距離を抑えるようにしています。
最近は以前のように走れないと感じることが多く、それが年齢のせいなのかトレーニング不足のせいなのか悩んだ時期もありましたが、これが今の自分なんだと思い、いろいろ考え方向転換をしてみました。
イメージ通りに走れないときもありますが、走れること、大会に出て楽しむことができることはとても幸せなことだとかみしめながら、楽しく続けています。
感覚的に何か新しい段階に入ってきたような感じがしています。
【けがや故障、過去の失敗談について】
初のフルマラソンのレースの後半で、エイドにあった黒砂糖を食べたのですが、それが原因で低血糖になってしまいました。
なぜ糖分を摂取したのに低血糖になったかというと、レース中に糖分を摂った場合は、その後も一定の間隔をおいて摂取し続けないと、糖分が切れた時に血糖値が一気に下がってしまうのです。
それを知らずに摂取したので、低血糖でフラフラになってしまいました。
それでも何とか3位に入賞したのですが、ゴール後は立ち上がることができなくなり、表彰式は出られませんでした。
今年の4月に参加した、かすみがうらマラソンでも失敗をしてしまいました。
私は用意周到なほうで、レース前からしっかり準備をし、この時はポケットが3つついているバイクジャージを着て参加することにしたのですが、これが裏目に出てしまいました。
ポケットの一つに水分補給のためのOS-1を入れて走っていたのですが、ボトルの出し入れの際に、なんとナンバーカードに着いているICタグが外れて落ちてしまったのです。
気づかずに走り続けゴールすると、係員の人が近付いてくるので、この大会はゴールするとランナーを迎えてくれるんだと感動していたら、その方に「タグはどうしたんですか?!」と言われ、そこで初めてタグがないことに気が付きました。
記録はどうなるのかと係員の人に尋ねると、後日完走証は送るが記録は残らないとのことで、せっかく走ったのにかなり残念な思いをしました。
【継続するために工夫していることはありますか?】
JogNoteの存在は大きいですね。
私にとってJogNote内での人とのつながりは本当に大切で、何かあれば声を掛け合い、励ましたり励まされたり、また他のランナーさんの成長ぶりも見ることができるので、どんな練習でどんな記録を出したのかが分かると、自分もがんばらなきゃとパワーをもらいます。
そしてそんな仲間にレースで会うのものとても楽しみです。
JogNoteは始めてからの記録が全て残るので、今ではランニングに関係ないことも記録し、日記としても使っています。
それと、最近は素晴らしい大会がたくさんあり、要所要所でそういった大切な大会に参加できていることも、継続できている理由の一つだと思います。
実は2010年から連続で東京マラソンに当選しているのですが、東京マラソンはただ規模が大きくて楽しいだけでなく、ボランティアスタッフの対応もとても丁寧で、本当に素晴らしい大会だと実感しました。
【ランニングのほかに行っている運動はありますか?】
以前は、スポーツジムでヨガや太極拳の要素が入ったヒーリングのエクササイズ、水泳などをしていましたが、今はあまり動きの激しくない脂肪燃焼系のエアロビや、クロスバイクに乗ったりしています。
移動するときはなるべくクロスバイクに乗るようにしています。
【ランニング初心者の方へのアドバイスをお願いします】
ビギナーのみなさん、私も最初は走るのが大嫌いでした。
レース中も苦しくて、10キロのレースの7キロ地点で「あと3キロもあるんだ!このままタクシーに乗って帰りたい。」などとよく思っていましたよ(笑)。
練習もあまり楽しくはなく、“速く走りたい” “よいタイムを出したい”という一心で走っていました。
今思うと最初はけっこう無理をしていたので、必要以上に力んでしまい、楽しみより辛さを感じることが多かったのだと思います。
ですので、あまり力まず気楽に始めてみてください。
けっきょくはそのほうが楽しく続けられ、速く走れるようになると思います。
自分はスピードより距離を重視するようになってから力を抜いて走るようになり、このことに気が付きました。
それでも、たまに力んでしまっている自分にふと気づくこともありますが、でも今は7キロ地点で「もう7キロも走ったんだ!」と思えるようになりました。
【自分にとって走るということは】
ランニングを始めてから、自分にとってプラスになったことがたくさんあり、人生そのものが豊かになりました。
人との出会いをはじめ、自分の身体や心の状態について、また生活のリズムや食事、睡眠のことなど、以前は気にしていなかったことをよく考えるようになりました。
走っているときも、集中して考えることができるので、練習の時は毎回違うことをあれこれ考えながら走っています。
これはレースの時も同じで、タイムを気にしながら、たくさんのランナーさんと一緒に走っていますが、とても集中していろいろなことを考えることができる、私にとっては大切な一人の時間でもあります。
物事をよく考えたり振り返ったりすることができるという意味でも、走る時間が自分にとってどんどん大切な時間になっています。
走るということでプラスになることはたくさんあります。
自分の人生を豊かにするために、これからも楽しく走って行けたらよいなと思っています。
【取材者から一言】
イノシシ!!
何事もなくてよかったですね。
突然現れたら本当に怖いと思います。
山川さんの言うように、走っている時間は私にとっても大事な一人の時間です。
なんとなくもやもやしていたことも、走ると心身ともにすっきりしますし、走り始めてから私も自分の健康面を考えるようになり、身体を動かすことの大切さを改めて感じました。
そしてお話を伺っていて、ご夫婦で同じ趣味をもち一緒に楽しむことができるのは、とてもすてきだなと思いました。
立派なフォトブックは、お二人の思い出がたくさん詰まった宝物ですね。
これからもけがのないよう、お二人で楽しく走り続けてください。