【ランニング初心者の方は、まず何から始めればよいと思いますか?】
1点目としては「短い距離でよいので、とにかくコンスタントに走る」練習をしてみてください。
最初から長く走ることはできませんし、無理をすると走ること自体が嫌になって続かなくなってしまいます。
私もブランク明けの頃は、なかなか思うように走り続けることができず、走る感覚を取り戻すためにこの「短い距離をコンスタントに走る」練習から始めました。
そして、始めたらまずは3日間続けてみてください。
“3日坊主” “2度あることは3度ある” “3度目の正直” など言いますが、私も「3」はキーとなる数字だと思っています。
皆さんも3日続けられたら、その後も継続できたということが経験上あると思いますので、まずは「短い距離をコンスタント」に「3日間走ってみる」事をおすすめします。
特にビギナーの方は、足の筋肉ができていないうちにオーバートレーニングをしてしまうとけがや故障にもつながると思います。
ある程度筋肉がついてくると、鍛えた筋肉が足をサポートしてくれるので、故障等もしにくくなります。
ですので、まずはサポートしてくれる筋肉を作るためにも、走り始めは故障しないようあまり走りすぎないことに気をつけて下さい。
2点目として、「走ったことの可視化」をおすすめします。
SNSやアプリを使って走った距離を記録すると、どれくらい走ったかが見えて楽しくなり、達成感も得られますよ。
ちなみに、私は「Jog Note」というランナー向けのSNSを練習日誌として活用したり、他のランナーさんの練習内容を参考にさせてもらったりしています(モチベーションが下がったときに、他のランナーさんの頑張りを見て、自分に喝を入れたりも・・・)。
また「Jog Boy」というアプリで走行距離を測っています。
他にも似たようなSNSやアプリがあると思いますので、自分の走りに合うものを探してみて下さい。
【始めたきっかけと、走る目的はなんですか?】
小学生の時、学内の持久走での優勝が嬉しくて、陸上を頑張ってみようと思ったのがきっかけです。
当時、学級内ではドッジボールの人気がすごかったのですが、球技が苦手な私はあまり活躍できず(苦笑)、自分に向いていている陸上の方が活躍できそうだと思い、力を入れるようになりました。
中学生の時の部活を選択する際には、球技と陸上のどちらを選択するかで迷ったのですが、入学前からお世話になっていた先生に「身長が低い人は、球技より走る方が向いている(身長が低いと、出せるパワーが身長が高い人よりも少ないので、球技の「投げる」「打つ」「蹴る」等の動作の時にどうしても不利)。走ることは自分自身の体を自分自身のエンジン(心臓)を使って前に運ぶだけだから、身長が低い人でも身長が高い人と対等に競える競技だ。」とアドバイスをもらい、走ることに魅力を感じ、駅伝部に入部しました。
本格的に走るようになったのはこの駅伝部に入ってからで、朝練に夕練、夜は自主練と、1日中走ってましたね。
つらいこともありましたが、走った練習の成果は必ずレースの場で結果に結びついたので、頑張って走ることができましたし、走る事自体が嫌になることはありませんでした。
部活の友人達もキャラクターの濃い人たちばかりだったので、一緒に走っていてとても楽しかったです。
つまり、始めたきっかけは「不器用な自分でも活躍できるスポーツを選んだら、陸上を選んでいた」というところでしょうか・・・(結構消極的な理由かも・・・)。
走る目的は2つあって、1つは自分の身体管理ですね。
太りやすい体質なので、走ってカロリーを消費して好きなものも気兼ねなく食べたいので(笑)。
そしてもう1つは、記録更新・目標の達成です。
強度の高い練習はやはり嫌になることもありますが、頑張った分はきちんと結果に結びつきますし、練習が辛かった分、記録更新時の達成感は最高です☆
【必須&おすすめのストレッチやマッサージなどはありますか?】
おすすめのストレッチとしては股関節とアキレス腱、肩甲骨ですかね。
その時々の体調に合わせていろいろなストレッチを組み合わせていますが、特に肩甲骨は上半身の動きに関係してくるので、できるだけするようにしています。
それから、ビギナーさんに心がけてほしい事ですが、「走る前にウォ-ミングアップ、走った後にはクーリングダウン」を必ずしてください。
人間も車と同じで温めないと動きが悪いので、走る前にはジョギングをして体を温め、ストレッチで体を伸ばして走りやすい状態にしてください。
走り終わった後はクーリングダウンとして、スロージョギングやストレッチをしてください。
故障予防や疲労軽減の効果がありますので、面倒だったり疲れていても、ぜひぜひ実践してほしいと思います。
また、ストレッチをする際には「伸びている部分を意識」することに気をつけながら、1つの動作につき30秒くらい続けます。
同じストレッチをするでも、意識するかしないかで効果が違いますので、「意識すること」が大事です!
マッサージはお風呂に入った時に、お湯の中でふくらはぎなどを中心に行っています。
マッサージは古い血液が心臓に戻るように、身体の末端から中心に向かってやるのがよいそうですよ。
ちなみに、マッサージはレースなどで本当に疲れた時しかしません…面倒くさがり屋なので(笑)。
【お気に入り&おすすめアイテムはありますか?】
おすすめのアイテムは2つあります。
1つはノースフェイスのトレイルラン用バッグです。
たたむとコンパクトになり、帰宅ランで使うときは、出勤するときに通勤用のバッグに入れて持って行くことができるので、とても便利です。
トレイルラン用のバッグなので、しっかりフィットして走っていても動かず、フォームも崩れないので、気に入っています。
もう1つはアディダスのランニングシューズ、アディゼロです。
あまりアイテムにこだわりはない方なのですが、ジョギング用のシューズはアディゼロと決めていて、かれこれ7年くらい履いています。
以前はよく、膝や足裏を痛めていましたが、アディゼロを履くようになってからは、ほぼ故障なしです。
ちなみに、レースシューズはアシックスかミズノのシューズを選んでいます。
人によって合う靴はそれぞれ違いますので、シューズを買うときはぜひお店のスタッフさんに色々と質問して、試してみてください。
【走るときに気を付けていることはなんですか?】
フォームに気を付けて走るようにしています。
私は上半身が凝る走り方をしてしまうので、リラックスした走りになるよう、走る前に肩の上げ下げや、肩を回す動きをします。
走っている最中も、上半身が凝った感じがした時は、他のランナーさんの邪魔にならない程度に腕を小さく回したり、だらっと力を抜いたりして、なるべくリラックスした走りを心がけています。
また、腰を高くして走ることも意識します。
腰の高さは歩幅に影響し、腰が低い状態で走るとなかなか一歩が前に出ないので、高い腰のイメージを持つために、走る前に高さのあるスキップをしています(前でなく、上に飛ぶのを意識して)。
そしてレースで辛くなったときは、「肘」を引いて走ることを意識します。
走る際は、腕の振りが足の動きにつながる訳ですが、「足を前に出す」よりも「腕を振る」ほうが人間は楽に意識できるので、辛くなったら「足を前に出す」のではなく、「腕を振る」ことを意識します。
ちなみにこの際に注意することは、腕を意識しすぎると肩に力が入ってしまうので、腕を振るために「腕」を意識するのではなく、「肘」を意識しています。
なので、「足を前に出す」ために「肘」を引くことを意識するわけです。
【よく利用するお店はどこですか?】
特に決めてはいないのですが、最近はステップスポーツを利用します。
スタッフさんは知識豊富で、対応もよく、お客さんとの距離感もとてもよいですね。
以前買ったことのある商品の場合は、試す必要がないのでネットを利用しますが、新しいアイテムの場合は必ずお店で購入します。
【練習内容とおすすめのランニングスポット】
練習頻度は週に5日くらいで、距離は1回に8~10キロくらいです。
時間帯は朝走ることが多いですが、夜走ることもあります。
練習内容はジョギングとインターバル走、ペース走の3種類を組み合わせています。
インターバル走は、まず全力に近い強度で1キロ走り、その後200mをゆっくりジョギングやウォーキングするという一通りの流れを数回繰り返します。
この練習で心肺機能を鍛えます。
また目標とするレースに合わせて1キロ設定を2キロ設定にしたりと、適宜調整しています。
ペース走は一定のペースで走る感覚を身につけるために行っています。
タイムが同じ50分で走りきった時でも、ばらばらのペースで走るより、安定した一定のペースで走った方が疲れずに済むので、その一定のペース感覚をつかむのが目的です…と、頭では分かってはいるんですが、レースの時はよく前半で突っ込んだペースで走ってしまいます…学習能力が乏しくて…(笑)。
この2つの練習は場所を選ぶのと、どちらもちょっと強度が高い練習なので、あまり気分がのらないときは無理をせず、負荷をかけたジョギングなどに切り替えることもあります。
負荷をかけるといっても、アップダウンの多いコースをジョギングで走るくらいです。
アップダウンの多いコースでは、走るための筋肉をつけることができるので、筋トレ嫌いの私はこの練習を筋トレ代わりに行っています(笑)。
おすすめのスポットは広瀬川沿いの1キロの周回コースです。
100mごとに距離表示があるので、インターバルトレーニング等の際に利用することが多いです。
ここはランナーさんの利用が多い場所なので、頑張っているランナーさん達の姿から、刺激をもらう事もできますよ。
また、川沿いなので川の流れを見ながらゆったりした気分で走れます。
それから、仙台の3本の電波塔が横一列に並んでいる姿を見られるので、それをご褒美に夜に走ることもあります(ただ、夜は暗いので、女性のランナーさんはお気をつけください…)。
【けがや故障、過去の失敗談について】
失敗談としては、レース中にあまりに寒くて思うように走れなくなってしまったことですかね。
昨年の仙台ハーフマラソンのレース中だったのですが、体温がどんどん下がっていって完全に足が止まり、途中棄権も考えました。
ゴール後は震えが止まらず、寒すぎて唇が紫色になり、会う人みんなから「顔色悪いけど、大丈夫!?」と心配されるくらいでした。
走り終えた後、ユニフォームのままだと寒いので早く着替えたいのに、手足もうまく動かず着替えるのにとても時間がかかったうえに、体中がだるくて最寄りの駅まで歩くのもつらく、レース後に予定していた打ち上げには参加することができませんでした…。
おそらく、症状から低血糖になってしまったのかと思います。
また、天気予報では暖かくなると言っていたので、予報に合わせた服装で走ったのですが、実際はそれほど気温が上がらず、肌寒いくらいの1日だったので、気温も体温低下の一因だったのかと思います。
ほかに貧血で悩まされた経験もあります。
以前、忙しくて睡眠時間も十分にとれない時期があったのですが、それでも無理をして練習を続けたら貧血になってしまい、その後数カ月間を棒にふりました。
その時期は、走力が落ちてしまう心配から、練習することにだけに目が行ってしまっていたのです。
やはり快適に走るためには “練習” だけではだめで、“休養” “食事” “練習” のバランスがよくないといけないと思い、無理をしたことを反省しました。
休養等も練習の一部だと考えて、今は無理をしないように取り組んでいます。
【継続するために工夫していることはありますか?】
「無理をしないこと」 「楽しむこと」、この2つに尽きると思います。
無理して走ると走ること自体が嫌になるので、気分がのらないときはすっぱりと走りません。
また、辛い練習だけでも続かなくなるので、自分なりの楽しみをランニングに取り入れてみると継続できると思いますよ。
私の場合は、おいしいパン屋さんや神社を目指して、おしゃべりをしながら走ったりすることですね。
疲れたら歩いたり、ログハウス調のおしゃれな住宅を見たりもして、楽しんで走るようにしています。
【ランニングのほかに行っている運動はありますか?】
登山と水泳です。
登山は家族が山好きなので、年に数回一緒に登ります。
登っている合間合間に見られる山の上からの壮大な景色は素敵ですね。
水泳は近くの市民プールでゆっくり1時間くらい泳ぎます。
脚を故障したときに水泳をすすめられたので泳ぐようになりましたが、最近は走るモチベーションが下がった時の気分転換として泳ぐことが多いです。
【ランニング初心者の方へのアドバイスをお願いします】
「自分のペースで無理をしない」、これを実践してほしいと思います。
人それぞれ、生活環境や走力、走る目的・目標等は違うので、他人と比較しないことが大事です。
「一緒に始めたあの人はもうフルマラソンに挑戦してるのに、私はまだ5キロしか走りきれない…」「あの人は月間○km走っているのに、私はレースのときしか走らないなぁ…」なんてネガティブに思わず、「まぁ、自分は自分なりのペースで頑張るわ~!」と。
それから、「走るのなんて全然楽しくない…!もう続けられない…」と思った時は、そこで一度やめてしまうのもよいと私は思います。
それはその人にとって、走るタイミングではなかっただけだと思うので、またふとしたときに何かのきっかけで始めるかもしれませんし、そういうタイミングで始めた方が自然に続けられると思います。
むしろ、無理して続けてしまうと、走るのが嫌になってしまうだけでなく、けがや故障の原因になることもあるので、気を付けてください。
精神的にも苦しくなってしまうでしょうから、あくまでも「自分のペースで無理をしない」で、やってみてください。
【印象に残っている思い出はありますか?】
あるレースで顔見知りではないランナーさんが後半あたりから、私のペースを引っ張ってくれました。
その方にペーサーをしていただいたおかげで、目標タイムでゴールすることができたので、ゴール後にお礼を言うと
「走りを見ていて、○分台のタイムを狙っているのが分かったから、引っ張ってあげたくなったんだ。」
と言われ、とても嬉しくなりました。
他にも何度かそういう機会があったのですが、レース中は自分のことだけでも精一杯なはずなのに、他のランナーにも気を配れるなんてすごいですよね。
自分もそういうランナーになりたいと思いますが、まだまだ自分のことだけでいっぱいいっぱいです(笑)。
もう1つ印象に残っているのは、友人から誘われて参加した「干支巡りラン」です。
各干支を祭っている仙台市内の神社を巡るイベントだったのですが、参加した人中でよく知っているのはイベントに誘ってくれた友人だけでした。
私は人見知りすることがあり、知らない人ばかりの場所が若干苦手なので、自らそういう場所に行くことは少なかったのですが、皆さんパワフルで面白い方ばかりで、結果とても楽しく走ることができ、気の合うランニング仲間がたくさんできました。
実は友人は、私がもっとたくさんのランナーと出会って、知り合いの輪を拡げられたらよいなと思っていてくれたそうで、それで私を誘ってくれたんだ、という話を後からしてくれました。
友人の心遣いは非常にうれしかったですし、彼女のような友人にランニングを通して出逢えて本当に良かったと思っています。
ランニングという共通の趣味を通してこれからもたくさんのランナーさんと出逢えるように、人見知りする部分は抑えて(笑)、どんどんランナーさんに話しかけていきたいと思っています!
【取材者から一言】
無理をしてしまった時期もあったようですが、今はバランスよく、そして楽しく取り組んでいるようですね。
話しているときのとてもイキイキした目をみて、齋藤さんの走ることに対する想いと、真っすぐなパワーを感じました。
(とても人見知りするようなタイプには見えませんでしたよ!)
確かに楽しむことが一番だと思うので、私も最近は自分のペースで気ままに走っています。
”走らなきゃ” じゃなくて ”走りたいなぁ” と思えるようになることが大事ですよね。
齋藤さん、これからも目標目指して無理せず楽しく頑張ってください!!