【ランニング初心者の方は、まず何から始めればよいですか?】
私が始めたころは、あまり情報がなく、物も多くなかったので、なんとなくランニングに使えそうなシューズと、Tシャツを着て走っていました。
今はたくさんお店があるので、着るものは適当でも、シューズはちゃんとしたものを履いたほうがよいと思います。
そして「無理はしないこと、人と比べないこと」が大事です。
同じ時期に始めたのに、自分より走れるようになる人がいても、比べてはいけません。
気持ちが頑張りすぎると、身体に負担がかかり、けがや故障の原因になります。
それが原因でやめてしまう人もいるので、自分のペースで取り組むことが大事です。
私はとてもマイペースな人間なので、「自分は自分」と思って続けてきました。
走ることは、楽しくなければ疲れるだけですし、楽しくなければマラソンじゃない。
楽しいことがなによりなんです。
【始めたきっかけと、走る目的はなんですか?】
目的は、楽しむため!
走るとスッキリして、心身にとてもよいからです。
きっかけは、子供が大きくなったあと、空いている時間ができたので、何かしたいなと思ったんです。
せっかくなので、身体を使った何かがしたいなと考えたときに、走ることなら一人でもできるし、空いている時間を使うのにちょうどよいな、と思いました。
健康のためというよりは、余暇の過ごし方として始めました。
最初はウォーキングから始めたのですが、なんだかかったるかったので、走ってみました。
そして、走り始めてすぐのころ、銀行でたまたま大会のポスターを見つけました。
何か目標があった方がよいな、とは思っていたのですが、その大会のゲストランナーが、当時のオリンピックの選手だったこともあり、まだ始めて一週間くらいだったのですが、ミーハーな私は、勢いで申し込んでしまいました。
大会は約一か月後でした。
当時は今のように情報がなく、練習も一人でしていたので、大会のことや走ること自体について、何も知りませんでした。
今思うと、何も知らなかったから申し込めたんだと思います。
種目は10キロだったのですが、初めて参加した私は、みなさんゆっくり走るのかと思っていたら、とんでもない!あまりの速さにびっくりしました。
でも目標があることで、頑張ることができました。
速さは別として、一ヶ月でほぼ10キロ走れるようになっていました。
【必須&おすすめのストレッチやマッサージなどはありますか?】
身体を丸めて、できるだけ小さくなるストレッチをやります。
身体を伸ばすことも大事なのですが、実は縮めることも大事なんだそうです。
走る前や途中など、疲れたときにもよくやります。
レースに出たときは、エイド(給水・給食所)で休んで、このストレッチをします。
【お気に入り&おすすめアイテムはありますか?】
私は走る目的に合わせ、シューズを変えるようにしています。
ウルトラマラソン(42.195キロを超える長距離レース)のときは、幅の広いシューズを履くのですが、ニューバランスは、幅広のモデルが多いので、気に入っています。
ワコールのCW-Xもお気に入りの一つです。
使い心地はもちろんのこと、アフターもしっかりしていて、大きい損傷でなければ、穴やかぎ裂きを無料・送料着払いで修理してくれます。
ワコールのお客様サービスセンターで受け付けてくれますよ。
フリーダイヤル:0120-307-056(意外と知らない人が多いです!)
保温マグポットには、真夏は冷たい飲み物を入れていますが、私は熱い方が好きなので、ほぼオールシーズン走る時は温かい飲み物入れて携帯しています。
何度もアスファルトに落としているので、かなりくたびれてしまいました。
ウルトラマラソンをしている仲間からすすめられた、ちょっとユニークなおすすめグッズもあります。
大会や練習時の塩分補給に活躍し、私も必ず持っていくものがあるんです…
それは、チューブの練り梅です!
持ち運びが楽で、量の調整も可能、そして余っても料理に使えるので、いまや必須アイテムです!
ウルトラマラソンは長時間走るので、朝晩冷えることもあります。
そんなときは、モンベルの山用の腹巻が活躍します。
薄いのにとても温く、引っ張ると伸びて胸まで覆ってくれます。
ショートスパッツも長距離レースや、トレイルラン(主に、山などの自然の中を走るスポーツ)のときにあると便利です。
市販のショートスパッツもありますが、壊れたビニール傘で、足首の箇所にゴムを入れて作ります。
ビニールだと雨天の時に、シューズが濡れるのを軽減できます。
始めた当時は、そんなにお金がかからないスポーツだと思っていましたが、実際始めると、あれこれ欲しくなり、思ったよりお金がかかってしまいますね(笑)。
【走るときに気を付けていることはなんですか?】
練習でも大会でもがんばりすぎない、無理をしない!
とにかくけがをしないように気を付けています。
実際大会でも、少し異常を感じたらリタイアすることがあります(走れたんじゃないかと、あとから後悔することもありますが…)。
最近は、熱中症にも気を付けています。
以前は夏の日中でも走っていましたが、ここ数年の夏は異常な暑さなので、日中は走らないようにしています。
日焼け対策ももちろんしていますよ。
【よく利用するお店はどこですか?】
もうなくなってしまったのですが、サイカワをよく利用していました。
当時、宮城県にはそれほどスポーツショップがなかったので、東京に行ったときなどに、アートスポーツもよく利用していました。
ショップ以外だと、わりと大きめの大会で、少し前のモデルのシューズやウェアを、ブースで安く販売しており、お買い得なものが多いので、けっこう利用しています。
【練習内容とおすすめのランニングスポット】
始めた当初は、広瀬川の愛宕橋~広瀬橋の遊歩道をよく利用しました。
平坦で走りやすいコースで、週に2,3回は練習していました。
今は時間があるときに、サークルの練習会で走ったり、近所で練習をしたりしています。
練習会では、ゆっくり話せるくらいのスピードで、15キロくらい走ります。
近所を走るときは、2時間くらいかけて、20キロのコースを走っています。
時間があるときは、仲間と一緒に3~4時間くらいかけて、25~30キロくらい走ることもありますよ。
週に何回走るとかは決めていませんが、1回に最低10キロは走りたいです。
走る時間は、お昼前かお昼過ぎが多いですね。
おすすめのコースは、坊平クロスカントリーコースと、蔵王のエコーラインです。
坊平クロスカントリーコースは、東日本唯一の常設のクロスカントリーコースです。
標高1000mの高さは、高地トレーニングに最適です!
常宿のペンション「ラビイハウス」は、絶品料理とオーナー夫妻の笑顔が最高で、毎年仲間たちとの合宿で利用しています。
蔵王エコーラインは、往復40キロのコースを、ゆっくり4時間くらいかけて走ります。
途中に湧水、軽食屋などもあります。
もちろんきついコースですが、その分達成感が味わえます。
終わったあとは、公衆浴場で疲れをとり、同じサークルの仲間が開いた、コーヒーショップに寄ります。
宮城蔵王のふもとにある「fua」というお店で、豆の鮮度とコーヒーの美味しさは格別です!!
素敵なお店なので、お近くを通られた方は、ぜひ寄ってみてください。
【けがや故障、過去の失敗談について】
ウルトラマラソンを始めて3年目の時、ある大会に出たのですが、途中で左足に違和感を感じ、みんなについていけなくなりました。
実力のせいかな、と思っていたら、実は肉離れを起こしていたらしく、40キロ地点で歩くのもつらいほど痛くなりました。
50キロ地点でやめようと思ったのですが、そのまま歩き続け、93キロ地点で時間切れになり、リタイアしました。
その後2ヵ月くらい、全く走れませんでした。
それ以来、無理をするのはやめようと思いました。
【継続するために工夫していることはありますか?】
無理せず楽しく続けています。
そして、自分より年上の人が楽しんで頑張っている姿を見ると、やる気が出てきます。
ウルトラマラソンは、他のランナーさんと話しながら走れるので、仲間が増えます。
大会での出会いも多く、県外にも仲間増えます。
大会に参加するときは、その仲間たちに会うのがとても楽しみで、そのために参加しているところもあります。
「みんな仲間」、この意識は、ウルトラマラソンの特長だと思います。
【ランニングのほかに行っている運動はありますか?】
以前から登山をしています。
一緒に登る仲間がいて、山のことにとても詳しいんです。
【ランニング初心者の方へのアドバイスをお願いします】
無理せず楽しく、高すぎない目標を作ってみてください。
今や大人気のスポーツなので、とても始めやすい環境ですし、大会も以前より多いです。
最近は、ウルトラマラソンもブームで、20~30代の参加者が増えているんですよ。
自分が始めたときはそんな流行っていなかったので、今から始める人がうらやましいです!
興味がある人は、ぜひ始めてみてください、やってみて本当に合わなければ、やめればいいんです。
自分もこんなにハマるとは思っていなかったので、もっと早く始めればよかったと思います。
【印象に残っている思い出はありますか?】
佐渡島で開催された、超ウルトラマラソンの大会(210キロ)でけがをしたときに、他の参加者や、近所の方に助けられたことがあります。
捻挫をして、歩くのも困難になった私を見つけたランナーさんが、1キロ先のお店まで行って、連絡してくれたのですが、大会関係者が迎えに来るまで時間がかかるので、そのお店の方が、車で迎えに来てくました。
とても優しい方で、その方の家で1時間くらい休ませてくれたんです。
大会後にお礼をし、その後年賀状のやりとりをするようになり、震災後も心配して連絡をくれました。
親切な方に助けられ、本当に感謝しました。
【取材者から一言】
K・Dさんの取材を通し、ウルトラマラソンという、自分には未知の世界を覗くことができました。
仲間との触れ合いを大事にするK・Dさんの走りは、まさに「共走」。
みんなで走ることの楽しさ、そんなウルトラマラソンの魅力を、少し感じることができました。
ぜひ今度、練り梅片手に一緒に走りましょう!!