【ランニング初心者の方は、まず何から始めればよいと思いますか?】
「1日15分の運動から始めましょう」
ビギナーの方に聞かれたときは、いつもこう言うようにしています。
走れないときは、ウォーキングでも構いません、15分でよいのでなるべく毎日続けて、身体を動かすことに慣れ、習慣化させましょう。
それができれば、走らずにはいられなくなり、15分じゃ足りなくなってきますから。
…という私も、実はサンデーランナーだったので、始めてから5年くらいは、日曜日しか走ってなかったんですけどね(笑)。
最初はそんなに本格的に走っていたわけではないので、ウェアも専用のものではなく、シューズも普通の運動靴で走ってました。
そんな私が、なぜこの「1日15分」をすすめるのか!?
それはあとで分かります!
【始めたきっかけと、走る目的はなんですか?】
私は、30歳の誕生日から、体力維持のためにランニングを始めました。
“30過ぎると体力が落ちる” とよく言うので、分かっているんだったら対策しよう、ということで始めました。
当初は純粋に体力維持のためだけに走っていたので、大会に出ることなんて考えてもいませんでしたし、出たとしても自分の体力がどのくらいあるのかを知るために参加していました。
それが今ではどっぷりハマってしまい、逆に体力は増え続けています(笑)。
走る目的は、可能性への挑戦、そして未知との遭遇です。
ここまで走れるようになったので “自分の限界はいったいどこにあるのか?” それを追求したいということと、走ることを通して生まれる、新たな人との出会いや、遠征で行く初めての土地のこと、またその土地の食べ物などを知り、楽しむことが目的でもあります。
【必須&おすすめのストレッチやマッサージなどはありますか?】
ずばり!!ラジオ体操です。
毎朝やっています!!
私は朝ランがメインで、走り終わる時間がちょうどラジオ体操の始まる時間(NHK第一、6:30から)なので、走り終わった後の運動としてやっています。
寝坊して走れなかった日も、ラジオ体操だけはやっています。
毎日同じ動きをするので、疲れている箇所や、調子の悪い箇所など、その日の状態がよく分かります。
体操をして違和感のあるところは、ストレッチするようにしています。
ラジオ体操はとてもいい運動なので、整体師やインストラクターの方もすすめているんですよ。
整体でマッサージしてもらっているときに “自分のとこに来るくらいなら、毎日ラジオ体操しなさい” と先生から言われたくらいですから(笑)。
逆に走る前はあまりストレッチしてないんですよ。
あまりよくないんでしょうが、起きてそのまま走っちゃいますね。
以前聞いた話ですが、走る格好で寝てそのまま朝ランする人もいるそうです(笑)。
【お気に入り&おすすめアイテムはありますか?】
鎖帷子(くさりかたびら)です!!
仕事が忙しくて走る時間がないときは、通勤ランをするのですが、それだけではどうしても長い距離を走ることができないので、お手製の鎖帷子(通称、手編みのセーター)を着て、身体に負荷をかけて走るようにしています。
3~4キロありますが、寝るとき以外はずっと着けっぱなしなので、足腰も鍛えられます。
これは身体を鍛えるのと同時に、仮装のためでもあります。
コスプレをするということは、重たいものを着て身体に負荷をかけて走っているので、当然走りにくいわけです。
しかし、コスプレをしつつ如何に速く走るか、それが大事だと思っているので、この鎖帷子は仮装用のトレーニングも兼ねています。
また、普段走りにくい格好をしていると、たまに普通のランナーの格好で走ったときにスピードが出て、それが記録につながったりもしています。
周りから “鎖帷子を着て大会で走ってほしい” という意見も出ているので、おいおい挑戦してみたいと思います。
もちろんこれはビギナーさんにはおすすめできないので(笑)、ちゃんとしたおすすめアイテムを一つご紹介します。
ちょっと変わった形の水筒なんですが、これはベルトなどにひっかけやすいようにデザインされていて、持ち運びもしやすくとても使いやすいアイテムです。
【よく利用するお店はどこですか?】
アキバ巡りが好きでよく行きます。
コスプレ専門店が多いので衣装も買えますし、御徒町周辺にはランニングの専門店も多いので、首都圏の大会に参加するときはこの周辺に宿をとります。
特にアートスポーツは専門的なアイテムや、便利な小物を多く取り扱っています。
仙台でよく利用するお店は「仙台フロンティア」です。
ミリタリー系のアイテムは、ポーチ類などランニングの時も使えるアイテムがけっこうあり、軍用のトレーニングウェアは質がよく、スポーツブランドの物より安く手に入ります。
仙台フロンティアさんとは長い付き合いで、衣装を買う時なども利用しています。
【練習内容とおすすめのランニングスポット】
基本は朝5時からの早朝ランで、平日は5~10キロ、休日は20キロくらい走ります。
寝坊したりして朝走れなかったときは、仕事が終わってから走っています。
朝に済ませるとその後も時間があるので、一日を有意義に過ごすことができます。
走る頻度は週に5~6日で、3日走ったら1日休むことを目標にしていますが、なかなかそうはいかないときもあります。
おすすめのスポットは、青葉城です。
坂が気持ち良く、天守台からの景色も最高です!!
そして、私の仕事は出張が多いので、出張先でのランを楽しんでいます。
先月は弘前へ出張だったので、走りながらきれいな弘前城を楽しむことができましたが、真冬に青森に行ったときは、雪だらけのなかを走ったりもしました。
横浜へ出張の時は、人気スポットの「みなとみらい」で朝ランをします。
人気の場所だけあってランナーさんが多いですが、とても走りやすく、気持ちよく走ることができる場所です。
遠征や旅行に行った時などもそうですが、いろいろな場所で走り、新しい発見や未知との遭遇を楽しんでいます。
【けがや故障、過去の失敗談について】
いわきサンシャインマラソンの本番3日前に、胃腸炎で倒れてしまいました。
一晩寝込んで、とりあえず動ける程度には回復したのですが、走れる状態ではなかったので “今回ばかりはDNS(棄権)か…” とも考えました。
…が、とりあえず練習してみたら、10キロは走れたので、DNF(リタイア)前提でやってみようと思い出場しました。
ペースを落とし、行けるところまでと考えていたのですが、走ってみると思ったより調子がよく、なんとそのまま完走しちゃいました。
このとき本当はフラガールの格好をしたかったのですが、男性フラガールのキモい格好で途中棄権したら、格好悪いし競技をバカにし過ぎていると思ったので、海沿いを走るということで水兵さんのセーラー服にチェンジしました。
なんとなくセーラー服だったら、途中でやめてもさほど無様ではないかと…。
結果的にセーラー服もなかなか評判がよく、沿道からの声援やハイタッチがすごかったのですが、走っている時フラガールの格好をした、キモい男性ランナーさん見つけ “やりたかったな~” と思いました。
【継続するために工夫していることはありますか?】
次の衣装の事を考えるのが楽しいですね。
選ぶ衣装は、その大会の開催場所にちなんだものが多く、気仙沼では板前、いわき・湘南では水兵さん、横田基地や霞ケ浦では零戦パイロットの格好をして走りました。
“何を着ようかな~、そろそろ新作出そうかな?” とあれこれ考えています。
また、コスプレランナーは、お互いに親近感が湧くので、知らない人同士でも気軽に話しかけやすく、レース中も世間話をしながら走る事がよくあります。
いわきの大会では、ゴール手前で他のコスプレランナーの方から「一緒にゴールしましょう!!」と誘われ、コスプレランナー3人で並んでゴールした事もありました。
当然ながら、沿道からの大声援にかこまれてのゴールだったので、お互い思い出に残る、感動的な大会になりました
やはり継続するには、楽しみを探し、見つけ、それを楽しむことが大事なのだと思います。
【ランニングのほかに行っている運動はありますか?】
サバゲ(サバイバルゲーム)を学生時代からやっていて、実はもともとはこちらがメインでした。
専用のフィールドや、オフシーズンのスキー場などを借りて、多いときは毎週やっていました。
最近は周りの仲間も年を取り、体力が落ちてしまったので、みんなサバゲ用の格好で集まるのですが、ゲームはせず野外で本格的な料理をし、若い人のサバゲを見ながら食事会を楽しんでいます。
サバゲは非常に体力を使うので、体力維持のためにランニングを始めたところ、いつしかランニングにどっぷりハマってしまった、というわけです。
他の競技のトレーニングとしてランニングを始め、そのままハマって走ることがメインになる方がけっこう多いと思いますが、私もその中の一人です。
【ランニング初心者の方へのアドバイスをお願いします】
速く走るだけがマラソンではありません、楽しみ方はいろいろあります。
私は鉄道旅行が好きで、よくいろんなところに行きますが、行きたい飲食店や観光スポットまで走って、観光地巡りを楽しんでいます。
慣れて長距離走れるようになると、自転車並みの機動力をもち、自分の足が移動手段として使えるので、観光ガイドに “タクシーで○○分”とあっても「ああ、走っていけるな」と迷わず走ります。
ドライブ感覚で松島まで走ったり、七ヶ浜の親戚の家まで走って届け物をして驚かせたり、走れるようになると非常に便利です。
そして、大会でのコスプレは沿道の応援が集中しますし、開催地の地元の方との触れ合いも多く、とても楽しいのでおすすめです。
このようにいろんな楽しみ方があるので、みなさんも自分なりの楽しみ方を見つけ、ぜひ長く続けてみてください。
【印象に残っている思い出はありますか?】
まだ私が週末しか走っていなかった、5年前の話です。
「荒川市民マラソン」に出たのですが、5時間ぎりぎりという散々な結果に、帰りの電車で少々落ち込んでいると、たまたま隣に乗っていた他の参加者の会話が聞こえてきました。
一人は私と同じくらいのレベルのランナーさんで、タイムも同じくらいだったのかもしれません。
もう一人は速い本格的なランナーさんのようでしたが、その速いランナーさんが相手のタイムを聞いたのでしょうか、こう言ったのが聞こえました。
「サンデーランナーの実力なんてその程度だよ、短い距離でも毎日走っている人には敵わないさ」
ほんの一言だったのですが、この言葉を聞いた瞬間目から炎が出て「そうか、毎日走ればいいのか!!」と思ったのです。
そして、最初におすすめした「1日15分」のランニングを開始し、ほぼ毎日走って練習を重ねた結果、以前よりだいぶ走ることに慣れ、翌年の荒川の大会では4時間10分代を記録し、その年の秋の大会ではサブフォー(フルマラソンで4時間以内にゴールすること)を達成できました。
当時の私の記録は4時間後半ばかりで、ゴールまで走り切ることもできず、一部は歩いたりして、何とか完走完歩という感じでした。
目標も4時間前半で、歩かずに完走できればいいな程度に思っていました。
そんな当時の自分にとって、サブフォーなんて夢の話しでしたし、ましてサブスリー(フルマラソンで3時間以内にゴールすること)なんて全く縁のないものだと思っていました。
そしてその後も練習を重ね、今年の3月、名前は変わりましたが同じ荒川の大会「板橋Cityマラソン」に再び参加しました。
当時の自分には全く想像もできなかった、サブスリーへの挑戦です。
一生懸命走りました!!しかし…
結果は惜しくも3時間01分18秒!!!
このときはゴールした瞬間 “サブスリーにあと一歩届かなかった悔しさ、それでも自己ベストを更新できた喜び、沿道や地元で応援してくれた仲間の事、そしてレースが終わったという安心感” などいろいろな想いがこみ上げ、涙がでました。
振り返ってみると、わずか数年でここまでこれたのは、すごい成長ぶりだと思いました。
5年前は自分がこんなに走れるようになるなんて、考えてもいませんでしたから。
今の自分がいるのは、5年前の無様な記録があっての事。
今でも部屋には5年前の記録証が貼ってあります。
そして、この大会の後、隣に3時間1分の記録証を貼りました。
次の大会では、サブスリー達成目指してがんばりますっ!!
【取材者から一言】
鎖帷子を着ている人初めて見ました。
大場さん、ほんとすごいっす、コスプレランナー魂を感じました!
「キモい、けど速い!」いやーかっこいいです。
そして3時間1分、本当におしかったですね。
今の自分には、フルマラソン自体が夢の話ですが、いつか挑戦できるよう頑張りますので、大場さんもサブスリー目指して頑張ってください!!
ちなみにこの鎖帷子を作るのに、どれくらい時間かかるんでしょうか?