【ランニング初心者の方は、まず何から始めればよいと思いますか?】
とにかく楽しくマイペースで走ることが大事です!!
なかには走ることに良いイメージを持っていない人もいると思いますが、それは学生時代に ”走らされた” 時の辛いイメージがあるからかもしれません。
楽しく続けるためには、マイペースに気持ち良さを感じながら走ることが一番大事なことだと思います。
タイムを気にするのもとても大事なことだと思いますが、最初から無理をしてけがをしたり、目標を達成できなかったことで落ち込んでしまい、モチベーションが下がってやめてしまったりするのは本当にもったいないことです。
人間は自分が思っている以上のポテンシャルを内に秘めています。
その人間が持つ大きな可能性を考えれば、1度や2度の失敗はたいしたことではないので、走るということを広く深く考え、もっと長い目で自分がどうなりたいのかを考えて、焦らずマイペースで走り続ければ、年齢や今までの経験などに関係なく、いつまでも楽しくワクワクしながら成長できます!
実際、私は69歳の今でも楽しみながら、人間の身体の無限の可能性を信じ、挑戦の気持ちをもって取り組み進化し続けています!!
やがて身体が慣れて楽しく走れるようになると、心にもゆとりができます。
心にゆとりができると、感性が豊かになって楽しみが広がり、草花や木々、昆虫や鳥、風
や太陽や雲など、四季折々の移ろいが感じられ、自然に親しむことで様々なものから大きなエネルギーをもらうことができます。
また走り続けると身体も変化し、体重が減って筋肉がつき体力も強化されるので、動くこと自体が楽しくなります。
さらに、走って汗をかけば日頃のストレスも解消でき脳も活性化されるので、よいアイディアも浮かんできます。
身体が軽やかに動けば気持ちにも余裕が生まれ、ポジティブな考え方にもなれるのです。
走りを通じて人は身体だけでなく、メンタルも変化して人間的に豊かになれます。
健康で楽しく走れるのは、両親から頂いた丈夫な身体、また家族や多くの仲間の協力があってのことなので、私はいつもこのことを忘れず感謝の気持ちをもって走っています。
走り続ければ楽しさがどんどん広く深く大きくなるので、是非、ゆっくりマイペースで走り続けてください。
【始めたきっかけと、走る目的はなんですか?】
私は57歳の誕生月から走り始めました。
当時体重が少し増えたことが気になっていて、ダイエットのためにも身体を動かしたいなと思ったことがきっかけです。
そのころは東京に住んでいて、近所の2キロのコースを使って走っていました。
しばらく続けて身体が慣れてくると、もっと走れるんじゃないかと思うようになり、ペースを上げて走ってみたのですが、始めたばかりの私には負荷をかけた練習は辛くてあまり楽しく感じなかったので、ペースを落としてゆっくり走るようにしたところ、楽しくて距離も延び、さらに走ることに慣れていきました。
3ヵ月くらいマイペースに続けてみると、体重も減って身体がよく動くようになり、楽しくて苦手だった早起きまでして走るようになりました。
そんな調子で楽しみながら続けてきたランニングですが、走り続けて12年3か月、総走行距離はフルマラソン34回も含めると、地球1周の40,000kmを超え2周目に突入しています!
そして今は70歳でサブスリー(フルマラソンを2時間台でゴールすること)を達成することを大きな目標に取り組んでいます!!
まだ70歳以上でサブスリーを達成した人は、世界に一人しかいません!
もしこれが達成できれば、初サブスリーでの最年長者ランナーとしてギネスブックにも掲載され、世界一になれるわけです!!
私の記録は62歳の時の3時間46秒が自己ベストなので、来年70歳になってこの目標が達成できるよう、自分の身体の変化を楽しみながら走り続けています!!
【必須&おすすめのストレッチやマッサージなどはありますか?】
走り始めたばかりのころは、けがをしないように補強のトレーニングにも力を入れ、腹筋や腕立て伏せ、背筋やスクワットなどの筋トレを、最低でも1日30分くらいは行いました。
必要な筋力がないとけがをすることがあるので、最初は補強のトレーニングも取り入れた方がよいと思います。
現在行っているのが60歳を過ぎてから始めた“ゆる体操”という体操です。
高岡英夫さんという方の本を読んで始めてみたのですが、その本を読み「老化=身体が固まること」であり、固まっていく身体をいかにゆるめるかが、老化予防や健康維持のために大事かということを知りました。
このゆる体操は、固まっていく身体をゆるく保つ、非常に健康効果の高い体操で、今の私の走りは、このゆる体操と体幹を鍛えるコアトレーニングがベースになっています。
【お気に入り&おすすめアイテムはありますか?】
ストレッチポールとバランスボールは実に重宝しています。
ストレッチポールは上に寝ると、身体がとてもリラックスし、骨のアライメント(骨の形態、骨格の形)がニュートラルになるので身体を自然な状態に戻すことができます。
これは姿勢にも影響するので、走るときのフォームにも関係してきます。
またバランスボールは、バランス感覚がよくなるだけでなく、骨盤や腹筋などにも効果があり、いろいろな使い方ができます。
ランニングの場合下半身を鍛えることにばかり目が行きがちですが、骨盤は肩甲骨と連動するので、肩甲骨がよく動くようになると骨盤も動くようになります。
そして骨盤の動きというのは走るうえでとても大事です。
私はこのバランスボールを使って、骨盤や肩甲骨、お腹やおしり周りなど体幹と呼ばれる部分を中心に鍛えています。
また走った後のケアのために使うこともできます。
どちらも手放せないアイテムです。
【走るときに気を付けていることはなんですか?】
走る前のアップと走った後のクールダウンはとても大事です。
走る前は少なくとも5~10分はストレッチポールなどを使いアップをして、身体をきちんと温めます。
クールダウンのときは、ストレッチやアイシングなどで負担のかかった部分を中心にケアをします。
私たちの身体は日々変化していますし、日によって調子も異なります。
日々気を付けていることは、自分の身体と対話し、無理をせず楽しみながら続け、なるべくストレスをかけないようにすることです。
いろいろな練習法がありますが、私の場合はレースに向けた練習以外では “今日は〇〇キロ走る!” など、あまり内容はきっちり決めません。
いろいろ決めて走ると、達成できなかったときに挫折感や罪悪感にかられたり、やる気が下がってしまったりすることがあるからです。
そのときの自分の調子に合わせて距離や走り方を決める方が、ストレスなく走ることができるので、ちょっとくらいいい加減でもよいのかな、と思っています(笑)。
やはり、いかに楽しく長く続けられるかがポイントですね!!
【よく利用するお店はどこですか?】
月に一度東京に行くのでランニングアイテムはその時に買うことが多いです。
東京ではジュエンによく行きます。
ジュエンは品ぞろえがよく安いのがおすすめポイントです。
【練習内容とおすすめのランニングスポット】
走らない日は月に3~4日なので、基本的にはほぼ毎日走っています。
私は期分けでトレーニングをしていて、いつも11月末の大会に向けて、5ヵ月前からトレーニングを開始します。
最初の2ヵ月は基礎的な持久力を養うために、距離ではなく時間を決めて(3時間くらい)走る、LSD(長い距離をゆっくり走るトレーニング)をメニューに取り入れます。
その後の2ヵ月は25~30キロと距離を決め、ペースを少し上げて走る練習を取り入れ、最後の1か月は10~15キロの短い距離を、さらにペースを上げて走る練習に切り替えます。
この5か月の練習を通して、ターゲットである11月末のつくばマラソンに向け、自分の身体をレース仕様に仕上げていくのです。
走る時間は昼が多いですが、今は時間がたくさんあるので、走りたいときに走っています。
ふだんは台原森林公園を走ることが多いですが、ほかにも県民の森や泉パークタウン、川内から青葉城、八木山などいろいろなところを気ままに走り、レースが近くなると若林の緑地公園を利用します。
【けがや故障、過去の失敗談について】
以前、少し無理をしてしまい足底筋膜炎になったことがありますが、常に自分の身体と向き合い対話することを大事にしているので、この12年間これといった大きなけがや故障はほとんどありません。
走り始めの頃は、高血圧で薬を処方されたこともありましたが、食事と運動で免疫力を上げ自分で治し、現在の血圧は125-70です。
レースでは一度だけ大転倒して、気を失ったことがあります。
福島の「伊達ももの里マラソン」に参加した時、ゴール前で激しい競り合いとなり、200m前くらいで大転倒してしまいました。
とても暑かったことや、ふだん無理をしないのに競り合いになりパワーを出し切ってしまったことが原因で、身体に力が入らなかったのだと思います。
顔から転んでしまい、気が付いたら救護室にいました。
後から聞いてみると、きちんと受け答えはしていたようなのですが、心配だったので大会後に脳のMRI検査をしたところ、幸いどこも異常はなく、むしろ年齢より若いほうだと言われました(笑)。
【継続するために工夫していることはありますか?】
いかに楽しみながらモチベーションを保ち続けられるか、ということに気を付けています。
そのためには走りそのものをいかに広く深く考えられるかが大事です。
自分にとって「走る」ということがどういうことなのかを考え、しっかり落とし込むことができれば、何かあったり壁にぶつかったりした時でも、自分で対処することができますし、その対処法の選択肢も広がります。
そして5年後、10年後の素晴らしい自分を思い描きながら、楽しんで走り続けていけば、いつまでも楽しく続けられることができるのです。
【ランニング初心者の方へのアドバイスをお願いします】
今はランニングブームなので、走ることに関していろいろな情報が溢れていると思いますが、私が一番大事だと思うのは「いかに楽しく続けるか」ということです。
タイムを縮めることやフォームなども確かに大事ですが、それを気にするのは次のステップからでもよいと思います。
しかし今はそういったことに関する情報ばかりが先行してしまっているので、始めたばかりなのに無理をしてしまったり、本来ぶつからなくてよい壁にぶつかったりしてやめてしまう人がけっこう多いのではないかと思います。
もちろん記録の更新を目標にすることはとても大事なことだと思います。
でもタイムばかり気にすると、目標達成が出来ないという焦りや挫折感が生まれ、無理をして怪我をするケースが多くなり、ストレスを抱えて楽しさを忘れてしまいます。
ゆっくりマイペースでよいので、身体と相談しながら楽しく走り続けた方が、結果的にはタイムも短縮でき、目標も達成できるのです。
もちろん目標達成のためには辛い練習も必要ですが、続けることで走りに対する考え方や感じ方が変わるともに、楽しいと感じる範囲も広がり、 ”辛い” も ”楽しい” の一部として感じることができるようになるので、それまでは無理をせず気持ちよく楽しく走ることを大事にしてください。
そのためには、最初は人と競争しないで自分のペースで走り、自分の身体としっかり向き合うことが大切です。
例えば、疲れたままの身体では良い練習もできませんよね?普段から自分の身体をチェックし、疲れた時にはしっかりと休養することも必要です、 ”休養もトレーニング“ です。
また、身体作りのためには食べ物も重要です。
自分の身体を強くしなやかにするもとは食べ物です。
私は走るにつれて食べ物に対しての意識が ”好きなもの“ から ”身体が欲するものへ” と変化し、栄養のバランスを考えて食べ物を選ぶようになりました。
”人間は食べたものでできている” と言われるように、バランスの良い食事は身体作りには不可欠です。
これから始めようと思っている人の中には、自分は向いてないとか、走れないんじゃないかと思う人もいるかもしれませんが、人間の身体は運動できるようになっているので、継続し慣れてくると身体も心も変わってきて、走ることが気持ち良く、そして楽しく感じるようになります。
ランニングを始めることで多くの人との出会いや、様々な感動が生れると思いますので、興味があるならぜひ始めてみてください。
そして、そういった出会いや感動を楽しみながら、走れることに感謝しながら、楽しく長く走り続けてください。
時間がかかってもよいので、目標に向けて少しずつ進んで行けば、きっと新しい自分、素晴らしい自分に出会うことができると思います。
”人間の身体は宝の山です!”
ワクワクしながら宝を探し、丹精込めて磨き上げましょう!
【取材者から一言】
私も昨年モチベーションが下がってしまった時期に、”どう続けるか?自分にとって走るということは何か?” を考え、とりあえず気持ち良く楽しく走ることを優先してみようと決めました。
実際それは自分に合っていたようで、以前より走ることが楽しくなり、結果頻度も距離もだいぶ増えました。
なので門脇さんのお話には強く共感させられました。
無理せず慣れることと、どう取り組むかというスタイルの確立はとても大事なことですね。
そして大きな夢をもって続けるということは本当に素敵だなと思いました。
そのあふれ出るパワーがあれば、きっと達成できると思います!!
門脇さんこのたびはありがとうございました、ギネスブックの掲載を楽しみにしています!!