【ランニング初心者の方は、まず何から始めればよいと思いますか?】
まずは外の空気を楽しみましょう!!
“やらなきゃ”と思って走ると続かないので、あまり気負わずに外に遊びに行く感覚で、楽しみながら続ける方がよいのではないかと思います。
走っていると、いろんな楽しみや発見があります。
外の空気や風の匂い、景色や季節の変化、植物や動物との出会い、知らなかった道や新しいお店の発見など、小さなことですが、普段気にしていなかったところに目を向けるだけでも十分楽しめると思います。
いろんな取り組み方があるとは思いますが、走りながらそんなことを楽しんで続けてみるのもよいのではないでしょうか。
【始めたきっかけと、走る目的はなんですか?】
もともと体を動かすのは好きな方で、犬の散歩をするようなゆっくりのジョギングを、大学4年生の時に毎朝10分くらいしていました。
この時はそんなに本格的に走っていたわけではないのですが、ちょうど就職活動をしていた時期で、自己PRのときに「いつかホノルルマラソンに出たくて、毎朝ジョギングをしています。」と言いたかったのもあり、続けていました(笑)。
本格的に始めたのは、娘が幼稚園に入ってからです。
“もっと走れたら楽しいだろうな”とずっと思っていて、自分の時間も作れるようになったので始めました。
ちょうどこの時、松島ハーフマラソンのCMをやっていたので、5キロの部に申込み、これを最初の目標にしました。
少しずつ距離・時間を延ばし、走ることにも慣れていったのですが、実はこの大会で、いかにもビギナーという失敗をしてしまったのです。
当時マラソンの雑誌を読んでいて、“レースの最初はゆっくり走りなさいと”とよく記事に書いてあったので、距離に関係なくそうした方がよいのだと思った私は、この5キロの大会で、その通りに走り出しました。
周りの選手はすごい勢いでスタートしましたが、道路が全部私たちのために閉鎖されていることに感動した私は、ルンルン気分でキョロキョロしながらゆっくり走り、そのままのペースで折り返し地点まで行きました。
そして、その辺りでやっと自分のペースが遅すぎたことに気づき、慌てて後半でダッシュしたのですが、時すでに遅しでした。
初めてのレースだったので分かりませんでしたが、短い距離のレースでゆっくりスタートする必要はなかったことに気づき、もっと速く走ればよかったなと思いました。
実際、もう1本走れるくらいの余力を残したままのゴールでした。
【必須&おすすめのストレッチやマッサージなどはありますか?】
夜寝る前に毎日柔軟体操をしています。
私は中学生の時に新体操部、高校では体操部にいたので、その時覚えたものが身体に染みついていて、おかげで今でも柔軟性があります。
この柔軟体操は自分の身体の調子を見るのにも役立ちます。
“今日はちょっと身体が固いな”と感じるときがたまにあるのですが、そういう時に走ると、違和感があったり故障につながったりすることがあります。
ストレッチは走る前だけしています。
国際大会に出た時などに、一流のランナーさんのやっているストレッチを見て覚えて、気に入ったものをやるようにしています。
基本的に激しい練習はしませんし、買い物ランがメインなので、帰りは買い物袋を持って歩いて帰ってきます。
このウォーキングでナチュラルクールダウンができているので、走った後のストレッチは特にしていません。
【お気に入り&おすすめアイテムはありますか?】
ミネラル入りの岩塩がおすすめです。
塩分は走るときだけでなく、普段の生活でも毎日摂取するものなので、なるべく身体によいものをとるようにしています。
特に運動時に塩分や水分が不足すると、脱水症状や痙攣を起こすことがあるので、運動中の補給はとても大事です。
もう一つのおすすめアイテムは、よく女性の方が足の爪にペディキュアを塗るときに使う、足の指を開く装置です。
走って疲れたときに使うと、付け根の部分に刺激が入りとても気持ちが良くて、疲れが取れます。
このアイテムは旅先にも持っていくようにしています。
【走るときに気を付けていることはなんですか?】
無理な練習はせず、とにかく楽しく走ることが長く続けるコツだと思います。
そして、自分の身体の調子をみて、相談しながら続けることも大事です。
私は、柔軟体操をして固いと感じるときは、無理な練習はせず、コースを変え、シューズもクッション性のあるものを履くようにしています。
走っているときも身体の調子をみながら、必要に応じてコースを変えています。
この見極めが大事だと思います。
それと、私は走るとトイレが近くなるので、コースにコンビニなどトイレのあるお店を必ず入れています。
【よく利用するお店はどこですか?】
実はスポーツショップにはあまり行かず、八百屋さんにばかり行っています(笑)。
とにかくフルーツが大好きで、疲れたときにも身体によいので、私にとっては欠かせないアイテムです。
おすすめアイテムの岩塩は「ジュピター」で買います。
夏場のレースでは、塩分補給のために削ったものを袋に入れて持っていきます。
「ジュピター」でよく買うもう一つのアイテムがレーズンです。
私はレーズンが大好きで毎朝食べています。
疲れたときにもよいですし、鉄分も取れます。
県外のレースで泊まりになるときなどは、いつでも食べられるように、小分けにしたものを持っていくこともあります。
【練習内容とおすすめのランニングスポット】
私は買い物ランがメインなので、「練習」としての時間は設けていません。
まず午前中に、その日用事がある場所を確認し、だいたいのコース決めます。
荷物が多くなると走れないので、買う物が多いところを最後にし、1時間から1時間半くらい走ります。
天気がよくて時間があれば、週に5~6回はこの買い物ランをしています。
買物や用事が済めばよいので、コースも気ままに走りたいところを走っています。
もっと練習すればよいのでしょうが、あまり時間もないので今はこのスタイルで走っています。
逆に大会が練習のような感じになる場合もあります。
今までハーフの大会にばかり出ていたのですが、昨年は10キロの大会にたくさん出ることができ、とてもよいスピード練習になりました。
普段のジョギングと違い、大会ではがんばって走るので、そちらの方が練習になっている部分もあります。
【けがや故障、過去の失敗談について】
始めてから3年目くらいのころ、あるハーフの大会に出ました。
このころからレースで入賞するようになり、この大会も入賞を目指して参加したのですが、走り出すと身体に妙な違和感を覚え、足は元気なのにスピードが全然出なくなり、どんどん走りが重くなっていきました。
次から次へと抜かれ、5キロ地点くらいで本当にビリになってしまい、それでも何とか10キロまでは走ったのですが、明らかに何かおかしい感じがしたので、リタイアしました。
ふらふらと歩いてスタート地点まで戻ったのですが、一向に良くならないので病院に行ったところ、通常は10~13あるヘモグロビンの値が、3しかありませんでした。
重度の貧血だったのです。
もちろん先生からスポーツは禁止と言われたのですが、薬を飲んだらすぐ元気になったので、実はその2週間後のフルマラソンに参加しました。
とりあえず走れるところまでと思っていたのですが、意外に元気に走ることができ、なんと好タイムを出すことができました。
でもその後も貧血は続き、4、5年は鉄分を飲んでいました。
後で分かった原因の一つが、その当時よく通っていたお風呂です。
汗をかくと鉄分も一緒に出てしまうので、貧血気味の人は運動やお風呂で大量に汗をかいたときは、ちゃんと鉄分補給をしなければいけません。
もう一つの失敗談は、アメリカのフルマラソンの大会でのことです。
寒い朝の大会で、5キロくらい走ってすぐトイレに行きたくなり、簡易トイレへ駆け込みました。
しかし、外はまだ暗く、トイレにも電気がなかったので真っ暗で何も見えませんでした。
おまけにショートパンツの紐がなかなかほどけず、おかしいなと思ったら、なんとタイツの紐とショートパンツの紐が絡まり、あげく固結びになってほどけなくなっていました。
その後何分トイレにいたことでしょう、かなり長い時間真っ暗な中で悪戦苦闘していました(笑)。
トイレから出ると、かなり後方のグループと一緒になったのですが、後半でギアを上げ加速し、年代別2位でゴールすることができました。
みなさん紐の結び方には気を付けてください(笑)。
【継続するために工夫していることはありますか?】
苦しい練習はせず、楽しみ重視で続けています。
私にとっては、これが続けていくうえでの大事なポイントだと思います。
大会に参加することも楽しみの一つですね。
幸いにも優勝させてもらうことが増えたので、賞品でその土地の地場産品をもらえるのも楽しみの一つであり、そして家計のためでもあります(笑)。
米沢牛やメロンを一箱もらったこともありますが、バナナを箱でもらった時はちょっと困りました。
とてもおいしいバナナだったのですが、一気に熟れてしまったのでみんなに配りました。
【ランニング初心者の方へのアドバイスをお願いします】
走り慣れてくるとすぐ距離を伸ばす人が多いのですが、故障の原因になるので、最初は少しずつ、無理せず焦らず、ゆっくり始めてください。
なかには始めたばかりですぐフルに出る人などもいます。
最近は大会がとても多いので、いろいろチャレンジできるのはよいことだと思いますが、初心者の方は、段階を踏んで、きちんと土台を作ってからの方がよいのではないかと思います。
人によってペースは違うので、周りに自分より速い人がいても、つられずに自分のペースで楽しみましょう!!
そして、ちゃんと走りたいなら炭水化物をしっかり摂りましょう。
炭水化物は走るためのエネルギーなので、欠かすことができません。
ダイエットが目的で走る方もいると思いますが、ランニングと一緒に炭水化物ダイエットをするのはやめましょう。
私はもともとダイエットが目的で始めたわけではないのですが、走り始めたら食欲がどんどん増し、たくさん食べるようになりました。
実は9年で4キロ体重が増え、実は始めたばかりのときの方が痩せていました(笑)。
【みなさん一緒に走りませんか!!】
「走るソムリエ」として楽しく走り続けています。
これまで、大会で優勝すること26回、そして「野菜ソムリエ」「アスリートフードマイスター」の資格を取得し、今は “楽しく走ること” と “元気に走るためにしっかり食べること” を伝える活動をしています。
ランナーのみなさんが楽しめるイベントを、たくさん企画していきたいと思っていますので、ご興味のある方はぜひ一緒に走りませんか!!
※堤さんのブログもぜひご覧ください。
http://feel-the-scene.at.webry.info/
【取材者から一言】
「走るソムリエ」の堤さん。
普段は買い物ランしかしていないのに、大会では数々の記録を持つすごいランナーさんです。
たくさん食べて、楽しく健康に走ることを伝えてくために、イベントも企画中ですので、気になる方はぜひブログをチェックしてみて下さい。
「仙台国際ハーフマラソン完走プロジェクト」では大会に向けた食事の調整に関するお話が聞けますよ。